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Wi-Fiが工業DXを加速する!ミリ波、ローカル5G......工場を支える最新通信環境をプロに聞いてみた

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業務効率化のためにDXを推進したいけど、Wi-Fiが届かなくてそれもできないし......そんなお困りの声をよく聞きます。

「動き始めたいけど、何を選べばいいかわからない」
「Wi-Fi中継? ローカル5G? 興味はあるけど、実際のところどうなの?」

今回はそんな疑問を解消すべく、工場をはじめ多くの現場を知る営業担当や、実際に電波の設計・構築を行う技術者たちに話を聞いてみました。

  1. 全体をWi-Fiエリアにする工場が増えている?
  2. 天井が使えない? 工場や倉庫内へのWi-Fi設置が難しい理由
  3. Wi-Fi中継は配線レスへの秘密兵器となるか
  4. Wi-Fiはコスパがいい? ローカル5Gとどっちがいいの?

全体をWi-Fiエリアにする工場が増えている?

インタビュー中の3名の画像

本日はどうぞよろしくおねがいします。

――三人:よろしくおねがいします。

最近、工場内のWi-Fi増設や、環境の見直しをする企業が増えているそうですね。事務室だけでなく、大型の機械があるスペースのWi-Fiエリア化も進んでいると聞きます。これは何故なんでしょう?

――古谷さん:それは工場のDX化が求められているからでしょう。「リアルタイムな進捗の見える化」や「ペーパーレス化」を推進して作業者の負担を減らす、そのためには施設内のどこでもインターネットを使えることが望ましいですよね。今まで一部分でWi-Fiが使えれば十分だったという工場でも、最近では全体をエリア化しようという動きが増えています。

具体的にはどんなことに使っているのでしょうか?

――古谷さん:例えば倉庫管理のデジタル化ですね。入庫、出庫などをリアルタイムで更新することで、正確な在庫管理が可能になります。こうすることで、従来の紙ベースの手管理、手入力に比べて正確性とスピードが格段によくなるんです。

天井が使えない? 工場や倉庫内へのWi-Fi設置が難しい理由

工場全体にWi-Fiが届くと、できることが広がるんですね! でも「全体」だなんて、大変ですよね。広い工場だってありますし。

――古谷さん:そうですね。まずは、配線の課題があります。工場全体のWi-Fi化にはアクセスポイントが複数台必要で、相当な長さの配線をしなくてはなりません。工場や倉庫内の製造ラインや、什器の位置などを考慮した配線を後付けで行う、これが大変な作業なんです。

――柏﨑さん:図面通りにいかないことも多いですね。図面上は配管があるけど、実際にはなかったり、もう他の線でいっぱいだったりとか。

――吉澤さん:あるあるですね。

オフィスよりずっと大変そうですね。

――柏﨑さん:工場の場合、電波をしっかり届けるだけでも工夫が要ります。電波の障害となるもの、例えば金属製の大きな機械などもあって、電波の死角ができやすいんです。

――古谷さん:他にも、業種ならではの事情もありますね。通常オフィスなどでは、広いエリアをカバーするためにアクセスポイントを天井に設置することも多いんです。ところが倉庫や工場などの場合、そこにはクレーンが設置されていたり、落下による異物混入への対策として、天井への設置が許されていないことも多々あって、結果、アクセスポイントの台数が増えてしまうこともあります。

インタビュー中の様子

「あるある」と頷き合う吉澤さんと古谷さん

Wi-Fi中継は配線レスへの秘密兵器となるか

電波の死角と配線の難しさ......工場だからこそのハードルがあるんですね。何かいい方法ってないんでしょうか?

――古谷さん:解決方法は環境によってさまざまですが、私たちがおすすめしているのは極力配線を少なくしたケーブルレスな構築です。

ケーブルレス?

――吉澤さん:アクセスポイントの後ろには普通、有線LANケーブルが接続されていますよね。その部分も無線化してしまおう、というわけです。

え? そんなことできるんですか?

――吉澤さん:方法はいくつかありますよ。最近増えているのが、中継器とアクセスポイントが一体になったWi-Fi中継の装置を使う方法です。

――柏﨑さん:私たちはPicoCELAさんの機器を使っています。LANケーブルを配線しなくても、複数台の機器を設置するだけで、アクセスポイント同士で通信をしてくれます。一台ではカバーできないエリアも、機器同士でホップしてケーブルレスで広いエリアをカバーできるんですよ。

――古谷さん:工場や倉庫、店舗などは定期的にレイアウトを変更するところもありますが、そういった場合も簡単に機器を動かせますし、対応しやすいですね。

すごい! メリットしかないじゃないですか。もう全部これで解決する気がしてきました! これが今の最新の無線セットなのでしょうか?

――柏﨑さん:さまざまな場所でDX化が取り組まれる中で、ケーブルレスで利用できるこの機器は最近注目を集めています。工場以外でも配線を極力減らしていきたい、という場所にはすべてマッチすると思いますよ。屋外で使えるモデルもありますから、例えば、数日で撤去してしまうイベント会場だったり、光回線がひいてある事務所から距離のある山林、建設現場などにもあっていますね。

――吉澤さん:そうですね。ただ、いいこと尽くめ、とはいきません。

なぜでしょう。中継もできるWi-Fiアクセスポイントなんて、利点だらけな気がするのですが。

――吉澤さん:こういった機器では、Wi-Fiのアクセスと中継は、チャネルや周波数帯を分けなくてはいけないんです。中継が増えれば増えるほど、通信に使えるチャネルが少なくなったり、周波数帯域が狭くなったりします。大容量の通信が必要な場合など、チャネルボンディングで広い周波数帯を確保したりしますが、そういったこともやりづらいですね。また、多くの帯域を使うことになるので、電波干渉にも強いとは言えません。

周波数帯の数ですか。普段意識せず使っているので気付きませんでした。帯域の問題をクリアする方法ってないんでしょうか?

――吉澤さん:「ミリ波」で中継する、という方法もあります。これは60GHz帯でWi-Fiとは周波数帯が異なりますので、中継に気兼ねなく使えますね。ただ、Wi-Fiと特徴の異なる電波なので、大気や雨などで電波が減衰したり、機器の調達が難しいなど、別の問題が出てきちゃうんですが......。

――柏﨑さん:我々がめざすのはあくまで最適な環境の構築です。もし現場で、有線のほうがメリットがあると分かれば、有線をオススメすることもあります。すべてはご要望をお伺いして、そして現場を見てからですね。

インタビュー中の様子

現状を語る柏﨑さん

Wi-Fiはコスパがいい? ローカル5Gとどっちがいいの?

ローカル5Gというのも最近よく聞きますね。

――吉澤さん:はい、これは近年のトレンドです。ローカル5Gは5Gネットワークを企業などが特定のエリアでプライベートに利用できるというのものです。ケーブルレスで非常に高品質な通信環境構築ができます。免許が必要な周波数帯なので、電波干渉の懸念もありません。完全にプライベートに使えるので、高水準のセキュリティが必要な企業などにもいいですね。

めちゃくちゃよさそうじゃないですか!

――柏﨑さん:品質面だけで見ればそうですね。ただし、費用もかなりかかります。Wi-Fiだけで構築すれば2~300万円で済むエリアも、ローカル5Gで作ると1000万円以上かかってしまうこともざらです。

そうなんですね。それは手を出しにくいですね。

――吉澤さん:加えて準備期間の問題もあります。ローカル5Gを利用するには免許申請が必要になります。各種の手続きに時間もかかりますから、それだけでも半年くらい前から準備をしなくてはならず、かなりハードルが高くなります。

そうなるとやっぱり、手軽で安いWi-Fiを選ぶべきなのでしょうか?

――吉澤さん:昨今、さまざまな周波数帯の利用が検討されていますが、通信技術においても、コスト面においてもWi-Fiはかなり優れていると言えますよ。しかもそれが免許不要で使えるので、ちょっとずるいくらいですね。

サービスの比較

サービスの比較 Wi-Fi中継は価格と効果のバランスが良い

なるほど。では「Wi-Fi中継を使う方法」と「有線LANを配線して一般的なアクセスポイントを使う方法」だと、どっちが費用がおさえられるんですか?

――柏﨑さん:案件によって異なりますが、台数や配線にコストがかかる場所であればあるほど、Wi-Fi中継を使う方法がコスパがよくなると言えます。コスト面以外にも、さきほどお話ししたようにレイアウトの柔軟性やメンテナンスのしやすさなどの良さもありますから、総合的に考えて選びます。

「この方法で、このメーカーの機器でWi-Fi構築すれば間違いない!」っていう最適解が知りたいなと思っていたんですが......もしかしてそういうのはない......?

――柏﨑さん:有線無線の話だけではなく、実際に現場を見せてもらった結果「このケースはローカル5G」「このケースはWi-Fi中継」と単純には一本化できないことがほとんどです。どんな用途で利用したいかでも異なりますね。1つの手段だけでなく複合的な構築を行う場面もありますし。どんな技術もいい部分とそうでない部分があるので、我々はその現場現場で、NTTBPが蓄積してきたノウハウを使って見極めています。

――吉澤さん:業務用のWi-Fi機器だといくつかの選択肢がありますが、価格やスペック表だけでは見えにくいメーカーごとの工夫や対応の違いなんかもありますね。

――古谷さん:なので皆さんも、新しいシステムや機器の導入検討時に「どうやって通信しようか?」と思った段階で良いので、お声がけいただきたいですね。お客さまの環境や制約条件を考慮した最適なプランを検討し、提案させていただきます。

環境にあわせた構築が必要なんですね。皆さん、本日はありがとうございました。

――三人:ありがとうございました。

おわりに

今回は工場を支えるケーブルレスな通信環境構築についてお伺いしました。さまざまなことが豊かに選べる良い時代になり、通信方法にもたくさんの選択肢が増えました。自分に合った設備や機器を適切に選ぶこともまた、今求められる能力なのではないかと思います。

NTTBPは、無線通信のリーディングカンパニーとしてお客さまひとりひとりに寄り添う構築を心がけています。課題解決や理想実現に向けて、予算に応じた最適な通信環境をご提案させていただきます。まずはお気軽にお問い合わせください。

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