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電波が大活躍! 家電のエース 電子レンジの豆知識


レンジでチン――よく使われる表現ですが、この「チン」って何だか知っていますか?

......3......2......1......チーン! 時間切れです。

実はこれ、自転車のベルの音なんです。初期に作られた音の出るレンジには、実際に自転車のベルが埋め込まれていたそうですよ。
思えば、毎日お世話になっている電子レンジのことを、私は何も知りませんでした。例えば、

  1. 電子レンジのガラス戸の穴ってなんであるの? あの大きさの意味は?
  2. 電子レンジってどこから電波が出てるの?
  3. そもそも、電子レンジのW(ワット)は何を表しているの?

電磁波を使う機械としては、Wi-Fiと同じくらい身近な電子レンジ。今回は「電子レンジと電波にまつわる豆知識」をお届けしたいと思います。

もし、電子レンジと電波の干渉についての記事をお探しなら、こちらもどうぞ!

関連リンク:電子レンジでWi-Fiが切れるって本当? 実験してみた~プロの解説つき
https://www.ntt-bp.net/column/blog/2022/04/post-34.html

電子レンジのガラス戸の穴ってなんであるの? あの大きさの意味は?


電子レンジの正面、ガラスの扉を見てください。スッキリと中を見通せる透明――だけでは無いと思います。よく見ると、小さな丸い穴が敷き詰められた網のようなものが貼り付いていますよね。なんだか忍者の装具のようですが......これって、何のためにあると思いますか? 答えは、電波に詳しい内神田博士に聞いてみましょう。

なーに、簡単じゃよ。これは電磁シールドじゃ。電子レンジの電波を外に出さないための仕組みなんじゃよ。

正解は、電波を遮蔽するための網でした。電子レンジは庫外に電波を出さないためにさまざまな工夫がなされています。例えば、厚みのある金属で囲っていることもその理由のひとつです。しかし、電子レンジの全方位を厚い金属で囲ってしまっては中の様子がわかりません。そこで、正面のガラスに、防護効果のある網を取り付けているというわけです。

さて、ここでもう一つ問題です! 次のうち、電子レンジのマイクロ波が通り抜けられないものはどれでしょう?

A・真空

B・電磁シールドにあけた6cmの穴

C・味のしなくなったガム

答えは防護シールドにあけた6cmの穴じゃ。一見大きく感じるが、充分にマイクロ波を防ぐことができるぞ。

電磁波は波長によって通り抜けられる穴の大きさの最大値が決まっています。電子レンジの場合は、6cm......かなり大きい印象ですよね。電子レンジのガラス戸を覆う丸い穴は数ミリ程度のため、もちろん電波は通りません。中が見えるという便利さを損なわず、私たちの安全を守ってくれているんですね。
ちなみに、電子レンジと同じ周波数帯を使っている2.4GHz帯のWi-Fiも同じように、6cm以下の穴は通ることができませんよ。

6cm......ペットボトルの直径ほどの大きさです。

電子レンジってどこから電波が出てるの?

中にごはんを入れてチンするので、中に電波が出ていることはわかります。しかし、この電波は一体どこからどのように出ているのでしょう。四方の壁からまんべんなく出ているのでしょうか? あるいは、天井から雨のように降り注いでいるのでしょうか?

ほとんどのレンジが、側面の一箇所から電波を出しておるぞ。ここにはマグネトロンという、電子の共振からマイクロ波を生み出す装置が入っておる。

ほとんどの電子レンジの電波は、ある一箇所から出されています。電子レンジの心臓とも言える装置「マグネトロン」がある場所です。マグネトロンが生み出したマイクロ波が、先端のアンテナから庫内へ放出されます。1秒間に24億回振動する波が水分子を震わせ、その摩擦熱で食品を温めています。

一般的な電子レンジのマグネトロンは操作パネルの裏面に位置していることが多い

ところで、電子レンジの中を覗いた時、お皿が回っているのを見たことがありますか? あれは、放出した電波が食品を均一に温めるように考えられたものです。しかし一方、近年の電子レンジには、庫内でテーブルが回らないものも増えてきています。こちらはテーブルではなく、電波を庫内で乱反射させたり、発射した電波を回すことで温めムラを解消しています。

そもそも、電子レンジのW(ワット)は何を表しているの?

冷凍食品を温める時、裏面を確認すると思います。そこにある「500Wで1分」「600Wで40秒」の表記......この「W(ワット)」とは一体何のことでしょうか。

実はこれ、電子レンジの消費電力のこと......ではありません

電子レンジのW(ワット)は「定格高周波出力」と呼ばれる値で、規定された測定手順に基づいて算出された「マイクロ波エネルギーの量」を示しておる。この数字が大きいほど、入れたものを温めるエネルギーは強くなるぞ。

気を付けたいのは、500Wで電子レンジを使った時の実際の消費電力は500Wよりかなり大きいということです。目安としてですが、1100Wほどの消費電力を見込んだほうが良いでしょう。
一般的なご家庭では、ブレーカーの閾値が2000Wとなっているところが多いと思います。ドライヤー、エアコン、乾燥機などをガンガン使ってしまうと、思いがけずブレーカーが落ちてしまうかもしれませんよ。

内神田博士、ありがとうございました。

ちなみに私も知っている豆知識をひとつ! 500Wで60秒の冷凍食品を600Wで温める時は50秒でOKです。元のワット数と必要な秒数をかけて、変換したいワット数で割ると導けますよ。

やっぱり電子レンジは私たちの強い味方!

電子レンジとまた少しだけ仲良くなれたような気がした今日。レンジでチン、の便利さに隠れる、電波や電磁シールドの大仕事には頭が下がります。普段は見えない電波ですから、その動きを知って、少しでも安心・安全に、楽しく使いたいものですね。

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