複数のプレートの上にあり、ただでさえ地震や火山活動が活発な日本。内閣府の防災ページによると、日本の自然災害がここ100年で激甚化しているそうです。
参考:令和5年版 防災白書|特集1 第2章 第1節 自然災害の激甚化・頻発化等 : 防災情報のページ - 内閣府
https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/r05/honbun/t1_2s_01_00.html
思えば、豪雨による洪水や土砂災害などによる被害も毎年のように発生していますよね。「外国人旅行者が滞在中に自然災害に見舞われる」ことも、決して珍しいことではなくなっています。
ではそんな時、外国の方々はどのように情報収集をしているのでしょう?
2024年3月、NTTBPでは、台湾とアメリカの方のうち、日本に来たことのある方を対象に「日本滞在中に災害にあった際、どのように情報収集をしたか」を問うアンケートを行いました。調査はインターネットを通じて行い、台湾から393名、アメリカから102名の方に回答いただきました。
今回はこのアンケートの結果を踏まえながら、各国の通信手段についての意識を比較してみたいと思います。
※本記事に掲載の調査結果を転載希望の際は、NTTBPまでお問い合わせください
回答者の属性
訪日回数
回答者のほとんどがリピーターです。これまでに日本旅行した回数が1回だけの人はわずか4パーセント、10回以上訪れているという人も46パーセントにのぼります。日本政府観光局(JNTO)の統計データ(https://statistics.jnto.go.jp/)と比較すると、本アンケートの回答者は台湾・アメリカとも訪日回数が多く、平均よりも旅慣れた旅行者からの回答が多く集まることとなりました。
滞在期間は、台湾の方は1週間程度、アメリカの方は2週間程度がボリュームゾーンとなっています。
滞在日数
訪日中に災害にみまわれたことはあるか
回答者にリピーターが多いことが一因かもしれませんが、台湾、アメリカともに3割以上の方が「訪日中に地震、大雨、大雪、台風などの災害にあったことがある」と答えています。災害の感じ方は人によるため、とても小さな地震を経験しただけの人も含まれるかもしれませんが、思いのほか多いように感じます。
災害時にどうやって情報収集をするか
台湾、アメリカともにウェブサイトやSNSなど「インターネットを通じた情報収集をする」と答えた方が最多となりました。災害時において、インターネットが繋がるということが重要になっていることがわかりますね。
「テレビで情報収集する」という回答は台湾で多く、アメリカでは少ないという結果になりました。また「宿泊先や飲食店を頼る」という声もありました。
災害時に欲しい情報とは
災害時にどのような情報が必要かのアンケートの結果です。台湾では交通情報が、アメリカでは避難場所が最も多い回答となりましたが、災害時にはあらゆる情報の必要性が高まることがうかがえます。
災害時に役に立ったウェブサイトのアンケートも同時に行った結果「Google」などの普段つかっている検索エンジンや、「Facebook」「Instagram」「YouTube」といったSNS、「交通案内系のアプリ」や、「旅行会社サイト」との回答がありました。
ほとんどの人が、災害時に特化したアプリやサイトなどではなく普段使っているサービスを通して情報収集しているようです。
訪日外国人の方へおすすめの、災害時に役立つウェブサイト
災害時の行動などをまとめてくれているウェブサイトは多くの企業や自治体が提供しています。その中から有名なものをいくつかご紹介しますので活用してみてはいかがでしょうか。
観光庁
観光庁による災害時に役立つツールがまとめられたウェブサイトが便利です。
訪日外国人観光者用災害時に役立つツール | 訪日外国人旅行者等の災害被害軽減 | 旅行者の安全の確保等 | 持続可能な観光地域づくり戦略 | 観光政策・制度 | 観光庁
https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/kihonkeikaku/jizoku_kankochi/anzenkakuho/inbound/tool.html
さまざまな情報が掲載されていますが、一部をご紹介すると、トップに紹介されているアプリ「Safety tips」は心強いですよ。観光庁監修のもと開発された日本国内における災害情報通知アプリで、災害時には速報が届くほか、日ごろの心構えや備えに関するtipsも大変充実しています。
NHKワールドJAPAN
NHKワールドJAPANの情報もおすすめです。こちらは日本の公共メディアNHKの海外向けウェブサイトで、英語の情報が充実していますよ。災害だけでなく、天気や、熱中症に関する情報ページなどがあります。
NHK WORLD-JAPAN
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/
SNS
速報性の高いSNSもいざというとき役立ちます。日本政府観光局-JNTO(Japan Safe Travel)や内閣府防災のXアカウントはフォローしておくと良いかもしれません。JNTOは日ごろから英語でのポストを行っています。内閣府防災は日本語のポストがメインですが、緊急時には英語でもポストをしています。
JNTO Xアカウント
https://x.com/japansafetravel
内閣府防災 Xアカウント
https://x.com/cao_bousai
いざという時のために、複数の通信手段を
もちろん災害時に向けて情報の取得手段を準備することも大事ですが、まずはそのための「通信基盤」をしっかりと確保できる状態にすることがとても重要です。
過去の激甚災害時「モバイル通信が輻輳しつながりにくくなる」といったことが多くありました。また、能登半島地震の際には、通信会社のアンテナが被災しつながらなくなったこともあります。SIMカードやモバイルWi-Fiだけを使っていた場合、通信手段が途絶えてしまうことになりかねません。
そこで役立つのがフリーWi-Fiです。自治体や大規模商業施設では、災害時のためにフリーWi-Fiを整備しているところもあります。東京都の公衆電話はフリーWi-Fiのアクセスポイントとなっているだけでなく、災害時に電力を供給するUPSを備えていて、大規模停電にも備えています。
災害時のフリーWi-Fiに関する諸注意などは以前の記事でご紹介していますので、こちらを参照してくださいね。
関連記事:ポイント復習!誤解されやすい「災害時のフリーWi-Fi」を正しく知ろう
https://www.ntt-bp.net/column/blog/2024/02/post-150.html
いざというときのために、フリーWi-Fiスポットの場所を確認しておいたり、使い方を知っておくことも備えになります。
例えば、フリーWi-Fiの場所がわかるアプリを入れておくのもおすすめです。Japan Wi-Fi auto-connectはフリーWi-Fiがある場所のマップを見られる機能が入っているので、緊急時に重宝しますよ。旅行前にアプリをインストールして簡単な登録をするだけで、旅行中のWi-Fi探しにも緊急時にも役立ちます。
関連リンク:Japan Wi-Fi auto-connect | フリーWi-Fi自動接続アプリ
https://www.ntt-bp.net/jw-auto/
また、旅行の際はインターネットだけに頼らず、テレビなどの他の手段でも情報を手に入れるのが望ましいですね。
観光地や宿泊施設は、観光庁の指示により自然災害発生時の初動対応をマニュアル化しており、緊急対応や避難計画を準備しています。慌てている旅行者がいたら、宿泊先や訪問先の指示に従うように促してあげたいものです。
最後に
訪日旅行者が自然災害にみまわれる可能性は、決して低いとは言えません。さまざまなケースが考えられますが、おそらく情報収集のメインはインターネットになるでしょう。だからこそ、通信基盤の確保は非常に重要です。
記事でご紹介したようなウェブサイトやSNS、アプリがあることを、ぜひ覚えておいてくださいね。私たちももう一度、モバイル通信ができない場合にどんな手段が取れるのか、よく確認しておきましょう。