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もっと知りたい技適マーク! あなたのWi-Fiルーターは大丈夫?

技適マークとタイトル

ええっ! このWi-Fiルーター使えないの? せっかくネットで安いのを見つけたのに!

うん、残念だけど、このWi-Fiルーターには技適マークがないみたい

そんなぁ。なんでそんなものが普通に買えちゃうのー!?

無線通信を行う機器には不可欠な「技適マーク」。

前回の記事では「技適マークとは何か?」「なんのためにあるものか?」をご紹介しました。今回は「技適マークにまつわる素朴な疑問」についてお答えしていきます!

関連リンク:技適マークって何? スマホやパソコンにある郵便っぽいマークの正体を聞いてみた

Q.どうして技適マークのない製品が売っているの?

技適マークのない無線局たちのイラスト

A.電波法では「販売」は規制していないから

前回、技適マークがない製品を使うことは違法であるとお伝えしました。一方、技適マークがない製品を売ることは現状、規制されていません。総務省は、無線設備の輸入や販売を行わないことを「努力義務」と定めています。販売者に対して注意や勧告をすることはありますが、販売を差し止める権限は持っていないのです。つまり、基本的には法律で罰則を定められているのは「売る側」ではなく「使う側」ということになります。知らず知らずに電波法違反をしていたとならないよう、「無線局」にあたる製品を買う場合は技適マークをしっかり確認するようにしましょう。

技適マークがついているものだけ売ってくれればいいのに!

技適マークの取得には時間もお金もかかります。海外の販売業者が日本の法律に精通しているとは限りません。結果として、技適マークのない製品も販売されているのが現状です。まずは買う私たちが気を付けることで、しっかりと電波環境を守っていきたいですね。技適マークの確認方法については、前編の記事でもご紹介していますよ。


総務省は試買テストも実施している

総務省では販売中の無線局が法令の範囲内で機能しているかの抜き打ち調査――「試買テスト」を行っています。テストの結果、技術基準に適合していなかった機器の情報は、総務省のホームページで公開されていますよ。

令和4年は200機種400台の機器をテストしたそうじゃよ。うっかり購入した機器で、不安に思うものがあったら確認してみるとよいぞ

関連サイト:総務省 電波利用ホームページ 無線設備試買テストの結果について

Q.電波は目に見えないし、違反しても気付かれないのでは?

A.総務省は監視している

不法無線局は、電波法に触れるだけでなく、さまざまな電波障害を引き起こすリスクがあり、総務省が厳しく監視しています。 

見えないものをどうやって見張るの?

全国に不法電波を観測するためのシステムがあるんだって


総務省の電波監視システム

総務省は全国各地にある電波監視システムで電波を監視しています。遠隔方位測定設備、不法無線局探索車、短波監視施設、宇宙電波監視システムといったさまざまな設備を用いて、もし不法電波があればすぐに見つけることができるのです。

人間によるチェックの他に、24時間自動監視も行っているのじゃよ。電波発射源を測り、不法無線局の位置も特定できるそうじゃ。

関連サイト:総務省 電波利用ホームページ 電波監視システム

近年では、外国製の無線機の使用やアマチュア無線や車載の無線などで摘発される例が多いようです。

関連リンク:【独自】"違法電波"で通信障害が相次ぐ...飛行機が欠航したことも 取り締まりの瞬間(MBSニュース)
https://www.mbs.jp/news/kansainews/20230405/GE00049171.shtml

総務省ホームページでは外国製のトランシーバーやベビーモニターなども注意喚起されています。注意しましょう。

トランシーバーが並んでいるイラスト

Q.日本以外にも技適マークのようなルールはあるの?

A.アメリカにはFCC認証、ヨーロッパにはCEマークがある

日本以外にも電波の利用に関する認証制度はあります。主要なところでは、米国のFCC認証、欧州のCEマークがあげられます。世界中で販売されている有名メーカーのスマホなどには、技適マークと並んで記載されていることもありますね。

FCCマークとCEマーク

アメリカのFCC認証(左)とヨーロッパのCEマーク(右)

そもそも電波に国境はない

電波の行き来は人やモノのように国境で阻むことはできません。電波によっては衛星通信のように宇宙ともつながることもできます。そのため電波には「国連の専門機関が定めているルール」も存在します。多くの国は、この国際法規にならった上で、自国での基準を設けているわけですね。

ってことは、もしかして私たちが海外旅行に行くときも関係がある......?

当然ですが、国外では現地のルールに従う必要があります。持ち込んだ無線局が違反の対象にならないよう、注意しましょう。


国際電気通信連合が定める地球規模のルール

国際電気通信連合は、参加国すべての国際協力によって電波環境を保全、推進していくことを求めています。電波環境を公平に正しく使うために、世界中、地球規模の努力がなされているのです。

電波は国の共有資産ではなく、人類すべての共有資産ということじゃな。正しい知識を持って、正しく使いたいのう。

Q.日本の電波法は外国から来た人にも適用される?

A.もちろん適用される

日本国内にいれば当然、日本の電波法が適用されます。自国から持ち込んだ無線局に技適マークがない場合、違反の対象になるので注意が必要です。

日本人の私たちでも難しい話なのに、旅行者にはハードルが高いんじゃないかなあ......?

条件付きで未認可の持ち込み製品を使える制度もあるよ!


Wi-Fi機器の中には技適マークがなくても持ち込みから90日間だけ許される例も

「技適マーク」が付されていないWi-Fi機器でも「入国の日から90日以内限定で使える」という制度もあります。条件はありますが、こちらであれば海外から持ち込んだ「日本で未認可の製品」でも利用できます。

この制度が使えるのは、米国のFCC認証や欧州のCEマークがついていて、かつWi-Fi Allianceに認証された機器だけじゃ。さらに公衆無線LANやデザリングなどの用途に限定され、主に2.4GHzを使うよう定められておる。気楽に使うためには、技適マークがついている機器を使うのが一番じゃな。

関連サイト:総務省 電波利用ホームページ 海外から持ち込まれる携帯電話端末・BWA端末、Wi-Fi端末等の利用

技適マークはもっともっと知られる必要がある

こんなにも重要な役割を担う技適マークですが、それに比べて知名度はまだまだ足りない状況です。もし、これを読んで少しでも興味が沸いたら、詳しく調べてみてください。知らずに違法な機器を使っている人がいたら、教えてあげてください。私たちの電波が公共の資産であることを、そして厳正な運用によって守られていることを、忘れないようにしたいですね。

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