携帯不感地域を⽀える、業務ネットワークとしてのNTN

事業戦略室

通信ネットワークを空から⽀えるNTN

⼭間部や離島など、携帯通信が⼗分に利⽤できない環境においても、業務における通信環境の重要性は年々⾼まっています。
⾳声やデータによるコミュニケーションだけでなく、センサーやIoT機器のためにも、安定した通信が求められています。
「NTN(⾮地上系ネットワーク/Non-Terrestrial Network)」とは、⼈⼯衛星や無⼈⾶⾏機などを活⽤し、上空から広範囲に通信を提供する通信技術の総称です。昨今、業務利⽤の回線としても活⽤が広がっています。
本記事では、NTNの業務ネットワークへの活⽤について解説します。

インターネット接続回線としての活⽤

NTNは、衛星通信など地上以外の通信技術を包含する概念として整理された⽐較的新しい⽤語です。⼀⽅で、衛星通信の歴史は⻑く、これまでは主に静⽌軌道衛星(GEO)が利⽤されてきました。しかし、放送や専⽤通信など特定⽤途での利⽤が中⼼で、制約も多かったために、⼀般的な業務⽤途で柔軟に採⽤できる通信⼿段ではありませんでした。

近年では、低軌道衛星(LEO)による衛星コンステレーションが本格化し、従来よりも⾼速で柔軟な通信が可能になりつつあります。
サービス化も進み、専⽤設備の導⼊ハードルが下がったことで、NTNは光回線やモバイル通信回線と並ぶ、インターネット接続回線の有⼒な選択肢として位置づけられるようになっています。

光回線やモバイル通信回線とNTNの概要を表す図

NTN(Non-Terrestrial Network)の全体像

NTN(⾮地上系ネットワーク)は、通信を担う衛星などの設備の⾼度やプラットフォームの違いにより、いくつかの種類があります。
⼀般に、より低い軌道ほどより⾼速通信が可能です。

光回線やモバイル通信回線とNTNの概要を表す図

引⽤:総務省「NTNをはじめとする最近の電波政策の動向について」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000983825.pdf

静⽌軌道衛星(GEO)

静⽌軌道衛星(GEO)は、⾼度約36,000kmの静⽌軌道上に配置されています。地球の⾃転と同じ周期で周回することで、地上からは同じ位置に⾒える衛星です。
1機で⽇本全⼟といった⾮常に広いエリアをカバーできる点が特⻑で、⻑年にわたり放送や船舶や航空機の通信インフラなどとしても利⽤されてきました。

低軌道衛星(LEO)

低軌道衛星(LEO)は、⾼度数百〜2,000km程度の低い軌道を周回する衛星です。
静⽌軌道衛星と⽐べて地上との距離が近く、近年では数⼗Mbps~1Gbpsの通信速度を実現する通信としてサービス化されています。距離が短い分、遅延が⼩さく、電⼒効率の⾯でも有利です。
低軌道衛星は地球の⾃転よりも速い速度で周回するため、1機では特定の地点を常時カバーできません。そのため、多数の衛星を連携させて運⽤する「衛星コンステレーション」という⽅式が採⽤されています。
例えば、近年普及が進む、SpaceX社のStarlink は、この衛星コンステレーション型の代表例です。⾼度約550kmを周回する多数の衛星によって、地球規模での通信カバレッジを実現しています。
再利⽤型ロケットの打ち上げコストの低廉化など、技術⾰新により普及が急速にすすみ、Starlinkだけでなく、Eutelsat OneWeb、 Amazon LEOなど複数のサービスが実⽤化されています。
今最も注⽬されている、NTNといえるでしょう。

⾼⾼度プラットフォーム(HAPS)

HAPS(High Altitude Platform Station)は、無⼈航空機などを⽤いて成層圏(⾼度約20km)を⻑時間⾶⾏し、通信を提供す る仕組みです。「空⾶ぶ基地局」と表現されることもあります。
衛星と⽐較して地上との距離が近く、災害時や⼀時的な通信需要への対応⼿段としても期待されています。
国内では ソフトバンクやNTTグループとスカパーJSATグループが出資するSpace Compassなどが商⽤化を⽬指して実証を進めており、そう遠くない未来に実⽤化される⾒通しです。

広がるNTNの業務活⽤

光ファイバーケーブルが敷設できない場所や、モバイル通信がつながりにくい場所で効果を発揮

  • 田んぼとドローン
    農業
  • 山中の伐採材
    林業
  • 山深い集落
    山間部
  • 山の斜面を利用した畜産
    畜産業
  • 漁船での漁の様子
    水産業
  • 作業をするショベルカー
    建設業

NTNを⽤いた通信環境の構築は、これまでネットワーク構築が難しかったエリアを中⼼に、実証から実導⼊へと段階的に広がっています。
スマートフォンやPC向けの通信だけでなく、センサーや監視カメラなどのIoT機器を収容する、Wi-FiやLPWAネットワークのバックホール回線 としても有効です。

モニタリングや遠隔操作による農業・林業などのDX

⼭間地農業や林業、ダムや⾼速道路の建設等においては、モバイル通信の不感地帯も少なくなく、また広いエリアカバーが必要となります。
NTNの活⽤で⼭間地であっても広いカバレッジで多様な機器の通信を確保することができます。ドローンや機器の遠隔操作、モニタリングなどの基盤としても期待できます。

鉄道⾞内Wi-Fiのバックホール

特に⻑距離特急などでは、⼭間部でのモバイル通信の不通が課題になっています。
⾞内Wi-Fiのバックホール回線として活⽤することで、⼭間部でもインターネット利⽤のできる区間を広げることができます。

災害時の通信確保

激甚災害時などにおいて、光回線やモバイルキャリアの基地局が被災した際の代替⼿段としても活⽤できます。

Starlinkでの接続構成

業務⽤ネットワークの活⽤において、現状では低軌道衛星による衛星コンステレーションが主流です。
下の図は、よく採⽤されている Starlink の接続構成のイメージです。
基本的には、通信したい場所にStarlinkのアンテナおよびルーターを設置する必要があります。
設置したアンテナは上空の衛星と通信し、その先でStarlinkの地球局を介してインターネットへ接続されます。

Starlinkの構成イメージ

衛星ダイレクト通信

⼀⽅、専⽤アンテナを必要とせず、衛星とスマートフォンが直接通信可能なサービスも始まっています。
ただし現時点では、接続できる機器やアプリは限られています。たとえばiPhoneの場合、メッセージ送受信など限定的な⽤途にとどまり、⾳声通話や⼤容量データ通信を⾏うことはできません。

全体設計を前提としたNTN活⽤を

衛星コンストレーションなどの広がりにより、インターネット回線の選択肢は広がりつつあります。⼀⽅で、通信品質や運⽤⽅法、コスト⾯など、実際の業務利⽤にあたっては検証すべき点も少なくありません。当社では、実際のフィールドでの検証を重ねながら、実装への取り組みをすすめています。

NTNは単体で完結する通信⼿段ではなく、光回線やモバイル通信、Wi-Fi、LPWAなどと組み合わせて活⽤することで、その価値が最⼤化されます。回線単体で捉えるのではなく、ネットワーク全体の構成を踏まえて設計することが重要です。

LPWAや無線中継、ローカル5Gなどを活⽤することで、NTNを採⽤することなく無線エリア化することも可能かもしれません。

当社では、要件整理からネットワーク全体の設計、構築、運⽤まで⼀貫して⽀援しています。ご検討の際は、お気軽にご相談ください。

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